お葬儀の豆知識
年末に見直したい“エンディングノート”|家族に伝えるための5つのチェック項目

一年の終わりが近づくと、家の掃除や書類の整理といった“暮らしの棚卸し”をする方も多いでしょう。そんなタイミングこそ、「自分の人生の棚卸し」を行うのにふさわしい時期です。その第一歩としておすすめしたいのが、エンディングノートの見直しです。
エンディングノートとは、万一のときに家族が困らないよう、自分の想いや情報をまとめておくノートのこと。決して「死を意識するためのもの」ではなく、“今をどう生きるか”を見つめ直すためのノートでもあります。
今回は、エンディングノートとはどのようなものか、何を書き、どのように残していくのが良いのかを解説します。
なぜ「年末」にエンディングノートなのか
年末は、仕事も家庭もひと区切りがつき、心が少し静まる時期です。自然と生活を見直すタイミングが多いため、次のような理由からエンディングノートを見返すのに適しています。
- 書類の整理や住所録の更新をする時期である
- 家族と過ごす時間が増え、話し合いやすい
- 新しい年に向けて「どんな生き方をしたいか」を意識しやすい
こうした環境が整う年末にエンディングノートを開くと、思考が整理されやすく、自然に書き進められます。「今年の自分はどう生きたか」「来年をどう迎えたいか」を振り返る中で、人生の軸が見えてくるはずです。
書いておきたい5つのチェック項目
エンディングノートは決まった形式があるわけではありません。大切なのは、「家族が困らないように」「自分の気持ちが残るように」まとめることです。以下に、特に年末に見直したい5つの項目を紹介していきましょう。
①医療と介護の希望
突然の入院や介護が必要になったとき、「延命治療を望むか」「どんな介護を受けたいか」を事前に書いておくと、家族の判断がぐっと楽になります。また、信頼できる医師やかかりつけ病院、服薬情報も一緒に記載しておきましょう。
近年は「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」という考え方も広まりつつありますので、自分の希望を“話し合いながら残す”ということも大切になってきます。
②財産・口座・保険情報
相続の場面で最も家族が困るのが、「どこに何があるかわからない」ことでしょう。銀行口座、証券口座、保険証券、年金関係など、金融関係の一覧表を作っておくと安心です。暗証番号やパスワードはノートに直接書くのではなく、別紙やデジタルメモに保管し、「場所のヒント」だけを記載する方法もあります。
③葬儀・供養に関する希望
葬儀や供養に関する希望がある場合は「どんな葬儀をしてほしいか」「誰に知らせてほしいか」「宗派やお寺との関係」などをまとめておくと、残された家族が迷わず行動できます。特に最近は家族葬や直葬、オンライン葬儀など選択肢が多様化してきていますので、“自分らしい見送り方”を考えることが、家族への思いやりにもなります。
④連絡先と人間関係の整理
近年では携帯電話やSNSが中心の時代になり、交友関係が家族から見えづらくなっています。「連絡してほしい人」「伝えてほしい人」「連絡不要な人」を明確にしておくと、訃報連絡やお礼対応の混乱を防げます。
<主にまとめておきたい連絡先>
- 会社や仕事関係の人
- 親戚や血縁関係者
- 学生時代の友人
- サークルやコミュニティの知人
とはいえ全員を記しておく必要はなく、その人に連絡をすれば関係する知人には伝達してくれるような人やコミュニティの代表者など、連絡が行き届きやすくなると思われる人を残しておくようにしましょう。
また、スマートフォンやPCのロック解除情報、SNSアカウントやメールなどのデジタル遺品についても記しておくと万全です。
⑤メッセージ・家族への思い
エンディングノートの中で、最も大切なのは「心を残す部分」です。形式的な記録だけでなく、家族への感謝の言葉、伝えたかった想い、人生の振り返りなどを自由に書いてみましょう。書きながら涙がこぼれることもあるかもしれません。しかしそれは、「自分の人生をきちんと見つめてきた証」になるでしょう。
書けない・迷うときの考え方
書き残すには「まだ早い」「書き方がわからない」と感じる人も多いでしょう。その場合は、まずは“今の自分に分かる範囲”だけで十分です。エンディングノートは何度でも書き直せるため、完璧である必要はありません。遺言書のような法的文書でもありませんので、自由に何度でも書き直すことができます。まずは気軽にメモ感覚で始めてみるのが続けるコツです。
デジタル時代のエンディングノート活用術
最近では、スマートフォンやクラウド上で管理できる「デジタル版エンディングノート」も登場しています。パスワード付きで安全に保存でき、更新や共有も簡単です。ただし、サービスが終了してしまう場合やアカウント凍結などのリスクもあるため、紙とデジタルを併用して残しておくことが理想的でしょう。例えば「紙は家族に共有する用」、「デジタルは自分用のバックアップ」と役割を分けて保存する方法も有効です。どちらかが見られなくなった場合にも備えられます。
「書きっぱなし」にしない更新習慣を
エンディングノートは、一度書いたら終わりではなく、毎年“見直す”ことが秘訣です。
- 家族構成や連絡先の変更
- 口座・保険内容の更新
- 新しい想いや気づきの追記
こうした小さなアップデートを重ねることで、エンディングノートは“生きた記録”になります。見直すタイミングは、冒頭で触れたように「年末」に設定すると習慣化しやすく、内容の更新もしやすくなります。
まとめ|未来への準備は「今を丁寧に生きること」

エンディングノートは、未来の備えであると同時に、今を丁寧に生きるための大切な記録です。決して“死”の準備というネガティブなものではなく、“生”を見つめ直す行為とポジティブに捉えて記録を残しておきましょう。
「自分の想いを誰にどう残したいか」「どんな生き方をしてきたか、これからどう生きたいか」そうした問いに向き合う時間こそ、新しい年を迎えるあなたにとって、何より大切な心の整理になるでしょう。
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