お葬儀の豆知識
喪主の一日完全ガイド|葬儀当日の流れと心構えを5ステップで解説

もしあなたが喪主に指名されたらどうしますか。家族を亡くした直後であれば、誰しも心の整理がつかないまま数々の決断を迫られることとなります。通夜を終えて葬儀当日を迎えるころには、悲しみと緊張が入り混じった時間が訪れます。「きちんと務まるだろうか」「挨拶を間違えたらどうしよう」といった不安を抱える喪主は少なくありません。
もちろん葬儀社のスタッフは会場設営や進行を担当してはくれますが、葬儀の印象自体は式の顔である喪主が全体の流れを理解しているかどうかで大きく変わります。落ち着いた所作や丁寧な挨拶は、参列者に安心感を与えると同時に、故人への敬意を示す行為でもあります。
本記事では、喪主が当日に慌てないために押さえておきたい出棺前までの5つの流れを、準備・対応・心構えの視点から解説します。
ステップ①:葬儀前の喪主準備
喪主が葬儀当日の朝に行うことは、まず会場と祭壇の最終確認から始めます。通夜後に届いた供花や供物の位置を整え、祭壇全体の見え方を確認しましょう。喪主・遺族の席は前方、一般参列者は後方が基本配置です。また、会葬礼状や返礼品の数量も確認し、急な参列者増にも対応できるよう、5〜10%ほど多めに用意しておきましょう。
<段取りが8割、朝のチェックで当日をスムーズに>
- 会場と祭壇の最終確認
通夜後に届いた供花や供物の位置を整え、祭壇の見え方を確認 - 座席配置
喪主・遺族は前方、一般参列者は後方が基本 - 礼状・返礼品
参列者数より5〜10%多めに用意 - 弔辞・弔電の確認
順番と人数をチェック。誤読防止に名簿へふりがなを - 喪主挨拶の確認
「祭壇前」か「玄関前」かを葬儀社に確認
弔辞や弔電を依頼している人の出席確認や、挨拶の順番の確認も欠かせません。さらに、喪主挨拶を「祭壇前で行うのか」「玄関前で行うのか」を事前に葬儀社と確認しておきましょう。細やかな準備こそ、当日に慌てずに進行するための喪主の大切な務めです。
②僧侶到着と開式前の動き
多くの場合、葬儀は午前10時ごろに始まります。9時には受付が開き、9時半ごろ僧侶が到着します。喪主は僧侶を控室へ案内し、通夜への感謝を述べ、当日の進行を軽く打ち合わせます。火葬場への同行や精進落としへの参加の有無を確認し、不参加の場合は御膳料(3,000〜5,000円)を包みます。
<ポイント:僧侶対応と開式前の流れを把握>
- 9:00…受付開始
- 9:30…僧侶到着 → 控室へ案内し挨拶・進行確認
- 不参加時は御膳料(3,000〜5,000円)を準備
- 9:45…喪主・遺族整列
- 10:00…開式の辞 → 式が正式にスタート
僧侶への対応が終わったら、親族の着席確認を済ませ、司会と進行を最終チェックします。9時45分ごろには喪主・遺族が整列し、10時に開式の辞が述べられます。この瞬間から葬儀が静かに始まり、喪主の一挙手一投足に自然と注目が集まります。
③弔辞・弔電の拝受
開式後は僧侶による読経・引導に続き、弔辞と弔電の拝読が行われます。弔辞は関係の深い順に1〜2名が行います。それぞれ3分以内を目安にしましょう。弔電が多い場合は要旨のみ読み上げ、残りは受付掲示にするなど時間調整を行いましょう。小規模葬では弔辞を省略する場合も少なくありません。
<ポイント:弔辞は3分以内・弔電は要旨紹介でもOK>
- 弔辞は1〜2名までが理想
- 弔電は多い場合、全文ではなく抜粋紹介
- 家族葬では省略可。司会と事前相談を
事前に時間配分を司会と相談し、無理のない構成に整えておきましょう。また、誤読を防ぐため、名簿にふりがなを付け、司会・喪主で読み合わせを行っておくと安心です。
④焼香と進行
弔辞・弔電のあと、僧侶が再び読経を始めたら焼香の時間です。喪主→遺族→近親者→一般参列者の順に行い、動線を明確にしておきましょう。沖縄では二列導線にするケースも多く、会場構成に応じてスムーズに進行できる形を整えます。
<ポイント:焼香順を明確にして滞りなく>
- 順番:喪主 → 遺族 → 近親者 → 一般参列者
- 沖縄では二列導線も多く、会場に合わせて動線設計
- 焼香の合図は司会と目でタイミングを取るとスムーズ
焼香のタイミングを誤ると会場全体の流れが滞るため、司会とのアイコンタクトでリズムを合わせるのがコツです。
⑤閉会の辞・別れ花・喪主挨拶
焼香が終わると司会が閉会の辞を述べ、一般参列者は退席します。その後、遺族・近親者が残り、故人との最後の別れとして別れ花を手向けます。順番は喪主→遺族→近親者の順に行います。この時間は、静けさの中に感謝が満ちる、かけがえのないひとときです。喪主挨拶は、祭壇前で行う場合と出棺前に行う場合があります。「ご参列への感謝」「故人の思い出」「見送りの言葉」という3点を、心を込めて伝えましょう。
<ポイント:感謝を込めた最後の時間>
- 焼香後、司会による「閉会の辞」
- 一般参列者退席後、喪主・遺族で別れ花を手向ける
- 順番:喪主 → 遺族 → 近親者
- 喪主挨拶は「感謝・思い出・見送りの言葉」を心を込めて伝える
挨拶は形式にとらわれず、自分の言葉で語ることが何より大切です。
まとめ:葬儀を導く静かな勇気と、心を整える段取り

喪主の務めは、悲しみの中でも家族を支え、式全体を導くことです。しかし、それは決して「完璧にこなすこと」ではありません。大切なのは、一つひとつの流れを理解し、誠実に向き合う姿勢です。
葬儀当日の流れを把握していれば、予期せぬトラブルにも冷静に対応でき、参列者や親族に安心感を与えることができます。段取りを整えることは、故人への敬意を具体的な形に表す最初の一歩です。悲しみを抱えながらも、丁寧に進行を見守るその姿勢こそ、喪主としての最大の役割であり、何よりの供養です。
もし途中で涙がこみ上げても、それは決して恥ずかしいことではありません。涙の一粒ひとつにも、故人への深い想いが宿っています。葬儀が終わったあと、「きちんと見送ることができた」と感じられれば、それだけで十分に喪主の務めを果たしたことになります。焦らず、丁寧に務めることを心がけましょう。
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