お葬儀の豆知識
【家族が亡くなったら】自宅に遺体を安置する。家族が行う5つのこと
沖縄では昔ながらの自宅葬も多いため、病院の霊安室から自宅に遺体を搬送し安置する家も多くありますよね。
病院の霊安室は長くて24時間、短いと数時間で出なければいけませんから、その間に故人を迎え入れる準備を整えなければなりません。
葬儀社に依頼する家が多いので、ある程度は葬儀社が整えてくれますが、神封じなどは家族が行うことになります。
【家族が亡くなったら】自宅に遺体を安置する。
家族が行う5つのこと
病院で臨終が確認された場合
病院で臨終が確認された場合には、末期(まつご)の水や清拭、エンゼルケアなどの死後のお世話や儀礼は、病院で看護師や、病院が提携している業者が行ってくれるでしょう。
一連の死後に行う儀礼を終えた後、遺体は霊安室へ運ばれます。
<遺体を搬送を葬儀社へ依頼>
・ただ冒頭でお伝えしたように、病院の霊安室は長くて24時間、短いと数時間ですから、この間に葬儀社を決めて、遺体の搬送を依頼しなければなりません。
病院で紹介してもらった葬儀社に、遺体の搬送のみをお願いすることもできますが、葬儀まで任せられる葬儀社をここで決めてしまうと、後々がスムーズに進みます。
自宅で臨終が確認された場合
故人の生前から自宅葬を予定していたケースでは、最期の穏やかな時間をサポートする「ターミナルケア」で自宅療養を決める人も少なくありません。
自宅で臨終を迎えた場合、危篤状態の時からかかりつけ医(訪問医)に連絡を取り、臨終を確認後に死亡診断書をもらいます。
<自宅で行う、末期(まつご)の水>
(1)お箸に脱脂綿を大きいボールのように巻きつけ、糸で固定
(2)水を汲んだお椀に(1)の脱脂綿を付けて濡らす
(3)脱脂綿を故人の口に付ける
・上唇→左から右へ
・下唇→左から右へ
(4)看取った人々が順番に末期の水を取る
(5)最も故人に近しい人が、顔を拭き取る
・額
・鼻
・顎
…箸の先に脱脂綿を付ける方法が一般的ですが、綿棒や筆などの家もあるでしょう。
末期の水を取ったら、死後硬直が始まる3時間以内に体を拭き清める清拭を行い、生前のような姿になるよう、お化粧などを施します(エンゼルケア)。
自宅に遺体を安置する5つの準備
自宅に遺体を安置するに当たり、マンションやアパートであればエレベーター環境など、「搬送ができるかどうか」も配慮しなければなりません。
エレベーターが手狭な場合は、管理会社などに相談をすると、他の搬入経路(救急搬送時にストレッチャーを入れる経路など)を開いてくれることもあります。
<自宅に遺体を安置する5つの準備>
(1)安置場所を用意
(2)薄い掛け・敷布団を敷く(白)
(3)室温を整える(ドライアイス)
(4)枕飾りを供える
(5)神棚封じを行う
以上の5つです。
自宅に遺体を安置してから、枕元で読経供養(枕経)をお願いする場合は、僧侶に枕経の依頼をしてください。
一般的に一回の読経供養で約3万円ほどのお布施を包みます。
安置場所を用意
自宅で遺体を安置する場合、一般的には仏間でお仏壇を前に遺体を寝かせます。
仏間でなくとも、家奥の落ち着いたスペースで畳間などが好ましいでしょう。
ただ畳間や仏間に寝かせることが絶対ではありません。
生前に好んで過ごしていたリビングや部屋、洋間でも、自宅で遺体の安置はできます。
薄い掛け・敷布団を敷く
薄い掛け布団、敷布団を敷きます。シーツは白で統一してください。薄くて心もとないかもしれませんが、掛け布団敷布団、どちらも一枚のみです。
<薄い掛け・敷布団を敷く>
・それぞれ一枚のみ
・布団は逆さにして敷く
・枕の向きは北枕か西枕
薄い布団は1枚だけ
日本では遺体に何枚も布団を「重ねる」ことは、「不幸が重なる」として忌み嫌われています。
また遺体はできるだけ冷たい環境に整えなくてはいけません。
布団は逆さにして敷く
正しい位置で眠るのは「この世事」、逆さにすると「あの世事(逆さ事)」になるため、故人の布団は逆さ向きで準備をします。
このようにして昔の人々は、あの世とこの世を区別してきました。
そのため、普段は逆さに敷いてしまうと不吉です。
枕の向きは北枕か西枕
全国的には、お釈迦様が入滅(臨終)された頭の向きである北枕が多いですが、沖縄では西枕で整える家が多いでしょう。
<沖縄では西枕が多い>
・昔の沖縄では、二番表座(仏間/リビング)に遺体を安置し、太陽の沈む西向きを頭にして寝かせていました。
沖縄で太陽の沈む西の方角は、人生の終わり(イリ)を意味します。(イリマックァ=終わり枕)
また仏間ではお仏壇を頭にして寝かせる家もあるでしょう。
また全国的にも自宅で遺体を西枕に安置する地域があり、これは「西方浄土」を意味します。
室温を整える(ドライアイス)
自宅に遺体を安置する場合、目安となる室温は18度以下です。
冷房で室温を整えると室内が乾燥しやすく、加湿器を使用する家もしばしば見受けますが、加湿によって室温も高くなりがちですので、加湿器も控えた方が良いでしょう。
<ドライアイスの使用>
・葬儀までの期間によっては、ドライアイスを入手して遺体のお腹周りに挟むように配置します。
また、早めに棺に納棺することにより、より保冷環境が整うでしょう。
※ドライアイスを販売している業者もありますが、多くはペット遺体用の販売です。
葬儀社スタッフに相談すると適切な処置をしてくれます。
自宅に遺体を安置する期間
日本では法律上、臨終を迎えてから24時間経たないと火葬はできません。
さらに現代では、臨終を迎えた当日の通夜・翌日の葬儀はあまり多くはなく、長いと1週間後に葬儀を執り行うケースも増えました。
<自宅に遺体を安置する期間>
・一般的には、適切な保冷環境が整っていれば7日間は安置できると言われていますが、4日目くらいには霊安室などへ移す選択をおすすめします。
枕飾りを供える
寝ている故人の枕元に供えるお供え物が枕飾りです。
お通夜までの仮祭壇として扱われ、お通夜や葬儀までには本祭壇が整います。
全国的な枕飾りは基本の三具足である、香炉(こうろ)・燭台(しょくだい)・花立てを基本とし、宗旨宗派(真言宗・浄土宗など)や地域性で違うでしょう。
<沖縄の枕飾り>
・お水(ミジトゥ)
・お茶(ウチャトゥ)
・お酒
・お箸を差した山盛りご飯(チャーシウブン)
・味噌
・お塩
・茹でた豚の三枚肉(7枚×2皿)
・すまし汁
・団子(ダーグ)(7個×2皿)
この他、地域によって白いまんじゅうや果物を供えます。
葬儀社と契約しているなら、葬儀社が枕飾りを準備してくれますが、この場合は全国的な風習に倣った枕飾りが多いです。
神棚封じを行う
家に神棚がある場合は、自宅に遺体を安置する前に「神封じ」を行います。
神道においては「死は穢れ(けがれ)」の概念があるためです。
<神封じ>
・神棚の扉を閉じて、扉をまたぐように半紙を貼る
ちなみに神道に近い独自の信仰を持つ沖縄では、その昔、自宅まで遺体を歩いて搬送するに当たり、天の神様の目に触れぬよう、黒傘を差して移動しました。
全国的には自宅に遺体を安置した後、枕元でお坊さんが読経供養する「枕経」を行ってきました。今では沖縄でも、枕経を依頼する家があります。
また昔ながらの沖縄の儀礼では、病院から自宅へ遺体を搬送するに当たり、「ヌジファー(抜魂)」の儀礼を行ってきました。
病室でお線香を頭からくるくるくると回転しながら足まで移動し、このお線香を封筒に入れてサンとともに移動し、自宅に遺体が安置された後、枕飾りの香炉に供えて魂をお迎えする儀礼です。
まとめ
自宅に故人を迎え入れる準備、5つの事柄
(1)安置場所を用意
(2)薄い掛け・敷布団を敷く(白)
(3)室温を整える(ドライアイス)
(4)枕飾りを供える
(5)神棚封じを行う